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Maison Kei 小林圭 シェフ が帰国 メゾンケイ を披露
レセプションで披露されたローカル・キュイジーヌとは
パリの レストラン・ケイ で3つ星を獲得した小林圭シェフと 虎屋 が御殿場にオープンした メゾンケイ 。2021年1月の開店以来、今なお日本のレストラン界の話題の中心だ。
このたび小林シェフが一時帰国し、メゾンケイをお披露目するレセプションを、席数を最小限まで絞り込み万全の対策を講じて開催した。
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この日、供されたのはシグネチャーをはじめとする地元産の素材をふんだんに使った洗練の料理。
アミューズは、24ヶ月熟成のコンテ・チーズのグジェール。フランシュ=コンテ地方の老舗チーズメーカー、「バドーズ」のコクのあるコンテを使用。シャンパーニュ「ボランジェ」のロゼと絶妙な相性。
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福井県産の甘エビのタルタル、「キャヴィアリ」のキャビア乗せ。青リンゴとシソが爽やか。
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シグネチャーであるサラダ仕立ての前菜「ジャルダン・ドゥ・レギューム・クロカン(庭園風季節のサラダ)」。30〜40種の地元産のハーブや野菜が使われ、レモンの泡の下にはスモークした地元のくぬぎ鱒が隠れている。
合わせるワインは、日本固有のブドウ品種「甲州」を使った山梨の「グレイス甲州」。
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駿河湾で獲れた金目鯛のウロコ焼き。御殿場産のメロンキュウリ、アンチョビ、トマトとイカ墨のピストゥーソース添え。
ワインは、ヴィオニエ種を使った「ピエール・ガイヤール コンドリュー」。
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伊勢海老と竹炭のクロケット、ほうれん草を入れた緑のソース・グリビッシュを添えて。
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ランド産ピジョン(ハト)の朴葉味噌焼き風。フランス料理ではピジョンなど肉類の皮目に蜂蜜を塗って焼く「ラケ」という調理法があるが、メゾンケイでは蜂蜜の代わりに味噌を使用。
醤油で味付けしたもも肉が添えられて。
コース中、もっとも和を感じさせる一皿。ワインは、メルロー種を使ったシルキーな口当たりが魅力の栃木の「那須ワイン ソワレ」。
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最初のデザートは、京都・るり渓のヤギ乳を使ったヨーグルトのムース、ブルーベリーのソルベ添え。
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メインのデザートは、レストラン・ケイの代表的なデザート「ヴァシュラン」。
メゾンケイでは、虎屋のあんを合わせる。季節によって使用する果物は変わるが、夏はパッションフルーツ。パッションフルーツとパイナップルのソルベ、あんを使ったアイスクリーム、パッションフルーツのエスプーマ、パイナップルとマンゴーのタルタルの上にメレンゲを乗せ、パッションフルーツのようかん、あんのソースを添えた。爽やかな酸味と優しい甘みが調和する。
合わせるデザートワインは、ハンガリーの貴腐ワイン、とろりと甘い、「ディズノク トカイアスー」。
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今日が新たなスタートラインと語る 小林圭 シェフ。
コロナ禍によって改めてレストランの意味や価値について考えさせられたという。
「コロナ禍で外食する機会が減り、皆さん、家でいい食材を使って自分で料理を作られていたと思います。でも、フランスのお客様から僕の元に数多く寄せられたのは、『早く店を開けて欲しい』というお声だったんです。
求められていたのは、料理だけではなく空間と行き届いたサービスでした。レストランは、料理、空間、サービス、この3つが織りなす“体験”にこそ価値があるのだと思います。
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日本料理にたとえて、懐石ではなく、できる限り割烹を目指してください、と メゾンケイ のスタッフにいつも言っています。
厨房が近い場所にあって、サービスが厨房とお客様をつなぐ。サービス、厨房、洗い場のスタッフ、全員がいてひとつのレストランです。スタッフにはそういう店を目指してもらいたい。もちろんアドバイスはしますが、“小林圭の店”ではなくて、スタッフみんなが自分達で考えて、このレストランのスタイルを作り上げて欲しい。
また、 メゾンケイ がある御殿場には、都会とは違い、大地があります。土や水があるからこそ、食材が生まれる。まずそこをもっと強調したい」。
パリの レストラン・ケイ と メゾンケイ の料理には共通点はあるが、異なるものでもある。
「メゾンケイは大地のローカル・キュイジーヌ(地元産の食材を使う料理)。レストラン・ケイは都市のレストラン。違うイメージです。
メゾンケイ は、小林圭をめがけてというのではなくて、『料理がおいしかった。知らなかったが、小林圭っていうシェフがいたんだ』くらいの感じになればいいなと思います」。
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